【麻痺の評価:下肢編】ブルンストロームステージの覚え方と考え方

この記事はこんな人にオススメ

  • ブルンストロームステージが覚えられない
  • 運動麻痺の評価の理解を深めたい
  • 脳神経外科の患者さんを担当することが多い

この記事は前回の【麻痺の評価:上肢編】ブルンストロームステージの覚え方と考え方の続きになります。

ブルンストロームステージの基本的な考え方などを簡単に説明しています。
まだ読まれていない方は下記リンクからそちらを先に読まれることをオススメします。

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では早速、下肢編を解説していきますね!

目次

ブルンストロームステージの基本的な考え方(復習)

前回の上肢編でもお伝えしましたが、ブルンストロームステージを分かりやすく説明しなおした表と、押さえておきたいポイント2つを載せておきます。

ステージわかりやすいイメージ
弛緩していて動かせない
ほんの少しだけ動かせる
屈曲だけか、伸展だけの共同運動ができる
関節を1〜2つだけ自由に動かせる
関節2つ以上を自由に動かせる
麻痺してるけど健側にほぼ近い動きができる

押さえておきたいポイントは

  • 体の外側に腕や足を動かす運動は、難易度がとても高いということ
  • 腕や足を上げたまま保持するのは難易度がとても高いということ
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これは、下肢編でも共通の知識となるため、しっかり覚えましょう。

下肢のブルンストロームステージの覚え方

先に結論から言うと、ステージⅠからⅢまでは上肢と全く同じだと思って頂いてOKです。

ステージⅠからⅢに関しては、新たに覚えてもらうことも無いのでサクっと流します。

上肢:ステージⅠ

ステージⅠとは、上肢・下肢・手指問わず、「弛緩していて全く動かない状態」です。

下肢:ステージⅡ

上肢、下肢ともにステージⅡは「ほんの少しだけ動く」です。

しっかり腕を上げられたり、肘を曲げることが出来ません。

イメージとしては、ピクっとわずかに動く程度です。

下肢:ステージⅢ

上肢・下肢ともにステージⅢまでの考え方はほとんど同じです。

下肢のステージⅢは、「股関節・膝関節・足関節を一気に全部曲げる(屈曲)」か、「股関節・膝関節・足関節を一気に全部伸ばす(伸展)」状態を指します。

パターン化された運動(共同運動)のみですがある程度しっかり、大きく関節を動かすことができます。

以下に、ステージⅠ〜Ⅲまでをまとめます。

下肢:ステージⅠ〜Ⅲまでのまとめ

上肢ステージ内容
弛緩していて動かない
ピクっと動くレベル(わずかな共同運動,連合反応)
下肢全体を一気に同じ方向に動かせる(共同運動)
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下肢のステージⅠ〜Ⅲも、これだけでOKです!
上肢同様、下肢もステージⅣからが個別に考える必要が出てきます!

下肢:ステージⅣ〜Ⅵ

下肢は、上肢と違いステージを順番に説明していきます。

まず重要なのは

  • 体の外側に腕や足を動かす運動は、難易度がとても高いということ
  • 腕や足を上げたまま保持するのは難易度がとても高いということ

この2つのポイントです。

ステージⅣ、Ⅴ、Ⅵの裏技的な解説を表にまとめると以下です。

下肢ステージ内容
足の裏が地面についている(座位)
足の裏が地面から離れている(立位)
体の外に向かう運動をしている
回旋を伴う運動をしている
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これをベースに考えると、下肢のステージⅣ〜Ⅵはめちゃめちゃ簡単になりますよ!

下肢:ステージⅣ

下肢ステージⅣのポイントは「足の裏が地面についている」でしたね。座位で行うのもポイントです。

つまり、検査において足底が地面に接地したまま行なっている検査はすぐに「ステージⅣ」と判断してOKです。

検査項目としては以下の文言になります

下肢ステージ検査課題
・座位:足を床上に滑らせながら膝屈曲90度以上
・座位:踵接地で足背屈

こちらが下肢ステージⅣの検査のイラストですが、いずれの検査も足底が接地したまま足を引いたり踵を接地したままつま先を上げている運動だと言うことが分かります。

関節を分離して動かしている要素としても、左の図は足を地面につけたままなので足関節を動かす必要はなく、座位を取っているので股関節もそのままです。

そこから、膝関節だけを曲げるという動作なので、分離運動を行なっているのは膝関節1つのみとなります。

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とにかく足の裏が地面に接している検査はステージⅣでOK!

下肢:ステージⅤ

下肢ステージⅣのポイントは「足の裏が地面から離れている」です。立位で行う検査というのもポイントです。

なおかつステージⅥのような足が外側に動く運動や、回旋を伴う運動まだ出来ないレベルです。

検査項目としては以下の文言になります

下肢ステージ検査課題
・立位:股関節伸展位にて膝屈曲
・立位:膝伸展位にて足背屈(足背屈曲)

左の「股関節伸展位で膝屈曲運動が可能」は、立位のまま大腿部を動かさず、膝だけを曲げて足を後ろに持ち上げて浮かせます。

検査方法として、足底を地面から離すため、すぐに「ステージⅤ」と判断できますね。

右の検査は「足を浮かせる」かというと、浮かせないためステージⅤの一番ややこしい所になります。ここは丸暗記が必要になります。

動作としては、立位で足を一歩前に踏み出した位置で、膝を伸ばしたままつま先を上に持ち上げられるかどうかです。

立位で行う検査なのでステージⅣでは無いことが分かります。

ステージⅥの検査は全て「外側へ向かう運動(外転)」か「回旋運動」を含みます。
そのため、立位での足関節の背屈(つま先を上げる動き)はステージⅥでも無いことが分かりますね。

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消去法的な感じで覚えてもらってもOKです。

分離運動の数で説明すると、ステージⅣの検査はどちらも「1関節の動きのみ」でしたね。

ステージⅤの運動は「股関節の動きを止めたたまま膝関節を曲げる」という運動と、

膝関節を伸ばしたまま、足関節を上げる(背屈する)」というどちらも2関節の分離運動になります。

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関節を動かないように止めておくには「分離運動」が必要なんですね。

下肢:ステージⅥ

下肢ステージⅥのポイントは「体の外に向かう運動」をしているか、「回旋を伴う運動」をしているでしたね。

検査項目としては以下の文言になります

下肢ステージ検査課題
・立位:股関節外転
・座位:下腿の内外旋
(足関節の内・外返しを伴う)

ステージⅥは覚えてしまえば非常に簡単です。今までのステージ(Ⅰ〜Ⅴ)では出てこなかった「外転」と「内外旋」という言葉を見つけたらそれはステージⅥです。

※テキストによっては下腿の回内・回外運動と書かれていることもありますが、同じ動作です。急性期ケア専門士の公式テキスト上では「下腿の内外旋」と表記されています。

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試験対策用に、すべてを削ぎ落として説明しています。でも、この外転内外旋という言葉をみたらステージⅥと判断してもらってOKです!

まとめ

下肢ブルンストロームステージは上肢や手指に比べると比較的ポイントを押さえやすいと思います。

ステージⅠ〜Ⅲは上肢と同じと覚えてもらってOKです。

ステージⅣ〜Ⅵは

下肢ステージ内容
足の裏が地面についている(座位)
足の裏が地面から離れている(立位)
体の外に向かう運動をしている
回旋を伴う運動をしている

こちらのポイントを押さえると分かりやすいと思います。

PT、OTからすると「少し違う」という違和感がある箇所もあると思いますが、他職種が受ける試験対策も兼ねた解説ということでご理解頂ければと思います。

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麻痺の評価は理学療法士・作業療法士・看護師の国家試験だけでなく、各医療系資格でも出題されることが多いですね!

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この記事を書いた人

▶︎管理人保有資格
理学療法士(急性期勤務8年)、3学会合同呼吸療法認定士、
AHAのBLS/ACLSプロバイダー、福祉住環境コーディネーター2級

▶︎サイト方針
リハや医療介入を始める前に全医療職が知っておくべき「患者の全身状態把握」に役立つ知識・情報を発信中

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